説明.
槌に遊び炎に舞う鍛造師の矜持、良明が問う、鍛造歴50年記念作品! |
土佐伝 剣鉈8寸・両刃(鍛造50年記念) |
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作者 |
土居 良明昭和13年(1938年)生まれ。 名匠長運斎行光に師事。後に各地の名工を渡り歩き、土佐自由鍛造の秘伝奥義を継承、加えて独自の鍛造技術を確立、土佐の名門鍛冶。 |
解 説 |
江戸期より四国マタギに重要(ちょうよう)されてきた大型の狩猟刀、「土佐剣鉈(とさけんなた)」。古来より四国では、“巻狩(まきがり)”と呼ばれる猟法が盛んに行われてきた。勢子(せこ)に猪を追い込ませ巻き込み、待ち伏せしている射手のところまで追い込む猟法だ。 猪を追い立てる勢子が常に腰にたばさみ、愛用していたと云う「土佐剣鉈」は、半失で猛り狂う猪の肩口から心臓めがけての、止め刺しや、解体、及び、猪の剛毛をさらさらと刈り上げる毛刈、皮はぎなど、大型の狩猟刀として優れた性能に加え、勇壮な追い込みの時のやぶ払、枝打、そして野外料理、木竹細工、仮設小屋掛など、野外生活のあらゆる場面に対応できるよう完成された万能山刀である。 昔から、マタギの間で、「鹿は初矢、猪はとめ矢」と云われている。 鹿は一本の矢でも倒れるが、猪は、急所でも射たない限り倒れない。死んだふりをしていきなり襲い掛られる時もあり、険阻な山中、不意の出合頭、獣との闘いを余儀なくされることもある。身を守る護身刀としても、 重量430g、刃長(Blade Length) 約240mmは実用上、必然の性能である。かつて、四国の狩猟は、この「土佐剣鉈」に支えられてきたのである。 その古(いにしえ)の剣鉈が、欧米でも人気が高く、土佐自由鍛造の奥儀を極めた、土居良明(どいよしあき)の手により、《土佐伝剣鉈(鍛造50年記念)》として復刻された。 刀身は、出雲の真砂(まさ)と呼ばれる砂鉄を原料とした高純度炭素鋼、日立安来鋼青紙(ひたちやすきはがねあおかみ)2号を軟鉄にはさみ込んだ割り込み鍛造。仕上げは、天然砥で一本一本丹念に合砥(あわせど)がかけられ、長時間の酷使に耐え、鋭い切れ味と長切れを約束する。 良明の《土佐伝剣鉈(鍛造50年記念)》は,「猪を三頭解体しても尚、余り有る切れ味が温存され、落ちることはない」と四国マタギは云う。昔から炭素鋼は吸い付くような切れ味と云われ、今日でも、プロの料理人、木竹細工師、和洋裁職人たちが好んで愛用しているのは、炭素鋼の切れ味を知り尽くしているからだ。もちろん、それには一流の鍛造師が鍛造したものであると云う条件はつくが……。 名工・土居良明の鍛造歴50周年作品の証として、刀身裏には「鍛50」の刻印が誇らしく踊る。 手の平に吸い付く樫の木柄は、安全対策万全の鉄製指ガード付。そして、刃にやさしい朴(ほお)の木鞘には、なんと、切迫した状況下で救済に現われ、強運を呼び込む、“不動明王”の焼印が厳かに鎮座。ご尊家の重代、守護を祈念し、名工・良明が鍛えに鍛え上げた今回の《土佐伝剣鉈》は、鍛造歴50年の記念作品なのである。その証として、刃裏には“鍛50”の刻印が誇らしく踊る。 |
特記事項 |
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