説明.
逞(たくま)しきマタギ剣鉈とククリが融合! |
佐治 武士()作 |
佐治武士作 ダマスカス折返戦術剣鉈9寸 |
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作者 |
佐治 武士昭和23年(1948年)生まれ。 700年の伝統を誇る越前刃物の産地武生を代表する鉈鍛冶三代目。中学を卒業と同時に二代目に師事。同年、鍛冶訓練校に入学。1963年、三代目を襲名。1992年伝統工芸師の認定を受ける。確かな技術と創意工夫で、優れた刃物を生み出している。 |
解 説 |
京、粟田口の刀工、千代鶴国安が焼入の水を求めて往来以来700年、多くの名匠・名工達を輩出し、日本有数の刃物産地としてその名を馳る越前武生(たけふ)。その武生の近辺にもクラ(猟場)があった。武生を流れる日野川の上流、今庄町板取から栃の木峠や、上谷山にかけて狩猟が盛んに行われていたようである。 明治18年生まれの越前マタギ、竹沢八十吉翁によれば狩猟形態は巻狩(セコが獲物を包囲)、鹿やサル、カモシカ、猪も捕ったが、主として春先に冬眠から醒めた熊を狙う“穴熊猟”。「昔は銃が少なく、多くは三角穂の槍で突いて捕った」と云う。(千葉徳爾著、狩猟伝承研究)。 急所を外せば命が無い。数百年に及ぶ狩の現場で、いったい何人のマタギ達が屠(ほふ)られてきたことであろう。山の神と畏敬する獰猛な熊を目(ま)のあたりに命のやり取りをする。三角穂が折れ、ふっ飛んでしまうこともあるだろう。そんな時、頼りとするのは“二の矢”としての最後の守護身刀、伝説の越前マタギ剣鉈だったのである。 本品は、そんな武生に生まれ育ち、今や、武生を代表する鍛冶三代目、佐治武士により鍛え上げられた。それは、一閃(いっせん)にして熊を屠(ほふ)ったと伝わる越前マタギ剣鉈と、牛の首を苦もなく一刀両断すると云うグルカのククリを融合して誕生した。 刀身は、ダマスカス積層鋼に、日立安来鋼青紙2号を三枚に合せた、幽玄にして華麗なダマスカス。水面に墨を流したような墨流し模様が美しい。さらに、ぬめっとして、まるでマンモスの牙の化石を彷彿とさせるエゾ鹿のハンドルは、飴色に染まり、古色豊かな和風古美仕上げを施す。鞘は、荒削りではあるが、牛ヌメ皮、手縫いの一本合せ手作り。 特筆すべきは、刀身のアゴの部分を叩き延し、折り曲げ返し、厚手の指掛けヒルトを形成。これは、宗正刃物のアイディアであり、和式鍛造ナイフの新たなる歴史の一ページを刻むことであろう。豪毅にして軽快な携行性を誇るこの一本。密林での過酷な戦闘体験が生んだグルカの魂魄が宿り、越前マタギの数百年に及び培われた機能を凝縮。使うほどに、その性能の凄さを見せつけてくれることだろう。 ※在庫切れの際、納期は、お問い合わせください。 |