説明.
剣山(つるぎさん)、古伝の大振りな業物が松本の手で甦る |
剣鉈 伝古式「剣山刀」9寸・両刃 |
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作者 |
松本 鍛昭和9年(1934年)生まれ。 土佐在住の土佐鍛冶2代目。 土佐刃物コンクールで 知事賞受賞。 鍛造一級技能士の資格をも持つ唯一の伝統工芸士。 同世代の鍛造家が引退していく中、“孤高の円熟の技”、と定評の土佐鍛造界の最後の名鍛冶師。 |
解 説 |
志度浦の戦いに敗れた平家一門は落人となり、四国山地の中央部に落ち延びた。その多くは三大秘境の一つである祖谷山村(いやさんそん)に集落を形成し、剣山(つるぎさん)やその周辺に隠れ棲(す)んだ。男は腰の刀を山刀に変えマタギとなり、先住の民と融合し独特の狩猟文化を築き上げてきた剣山狩人(つるぎさんかりうど)。 本品は、その剣山で採集された古伝の山刀を、土佐の鍛造の達人、松本鍛(まつもときたえ)により、工夫を加え復刻された。松本鍛は、平成12年に本誌の表紙を飾った名工だが、今回、久々の登場である。作品の特徴は、伝統工芸士と鍛造一級技能士の資格を併せ持ち、高度で正確な鍛造技術と、精度の高い美しい仕上げ。 「手は遅いが、待った甲斐があった」と、松本ファンは口を揃える。この伝統に鍛えられ、歴史に磨かれた流麗にして、剛毅朴訥(ごうきぼくとつ)な松本鍛作、《伝古式「剣山刀」(でんこしきつるぎやまがたな)9寸》。その刀姿の底からは、目の肥えた男だけが見分けることのできる気品と風格が匂い立つ。 |