説明.
秋友の魂魄が宿る“細身”の大業物は清冽にして本物の香りが匂い立つ! |
剣鉈 細身渓流鉈「四万十」9寸・両刃 |
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作者 |
秋友 義彦昭和19年(1944年)生まれ。 土佐在住。中学を卒業と同時に二代目義光に師事。 昭和39年三代目を襲名独立。四国の刀匠を訪ね歩き甲伏の秘伝を修得。 土佐鍛造界の重鎮の一人だが、平成30年の5月から納期は未定となっている。 |
解 説 |
四万十川(しまんとがわ)と云えば、欄干(らんかん)の無い橋、“沈下橋(ちんかばし)”を想い出す。普段、嫋(たお)やかに流れる四万十の清流も、泥水が走り出すと手が付けられなくなる。荒れ狂い咆哮する濁流から橋を守る為の先人の工夫なのだ。 その昔、四万十川の川魚師(かわし)が、僅(わず)かばかりの荒塩と、一握りの味噌だけを携(たずさ)え、渓流を登り、山中奥深く分け入り露営する。以前、TV番組の四万十川魚師のドキュメンタリーの中で、捕獲したアユの様な渓流魚を両手で押さえ、生のままいきなり猫のようにムシャムシャと喰い「うまい」と云う、衝撃の映像を思い出す。 捕獲した残りの魚は、腹を裂き、仮設に掛けた小屋で陰干しをする。命を懸けた過酷な大自然の中で、彼らは最高のサバイバル技術を身につけたアウトドアでのスペシャリストでもあったのだ。 そんな彼らが力強い相棒として常に腰に下げていたのが、本作、《細身渓流鉈「四万十」(ほそみけいりゅうなた「しまんと」9寸》。鍛え上げたのは、土佐(とさ)自由鍛造の奥義を継承し、新風を送り続けている、名工・秋友義彦(あきともよしひこ)。 刀身は、玉鋼に一番近いとされる、日立安来鋼白紙2号(White #2)を極軟鋼(Soft Iron)にタガネで割り込んだ、本割込鍛造。荒研ぎの段階で裏山の孟宗竹に一振りしてみたが、刃毀(はこぼ)れも無く、その切れ味に瞠目─。 実用の現場で鍛えられ磨き上げられた比類なき細身の業物、《渓流鉈「四万十」》─。その美しい刀姿の底からは、目の肥えた男だけが見分けることのできる気品と風格が匂い立つ。 |
特記事項 |
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